カウンター越しの宇宙

Gaze universe from the counter -とある大学職員の雑記

大学職員とは - What is administrative staff ?

こんばんは、宇宙くじらです。

このブログは週に1回程度の更新を目指してゆるくやって行く予定なんですが、最初くらいこま目に書きます。

一応、大学職員として僕が感じたことや考えたことが一つのテーマなのですが、今日は僕なりの「大学職員」とはなんなのかという考えを書いていきます。


大学職員とは何か、その定義は

大学職員とは何か、まずはその定義からみていきましょう。

大学の事務職員・事務組織に関する法令上の規定
  大学職員とは、
  学校教育法第37条第14項:
 「事務職員は、事務に従事する」(第140条で、この規定が大学に準用するとある)
  大学設置基準第41条:
 「大学は,その事務を処理するため,専任の職員を置く適当な事務組織を設けるものとする」

つまり、大学の運営上の事務処理を担う立場の人たちのことを指すわけですね。


大学職員に求められる役割の変容

しかし、昨今の大学の多様化、高度化に伴い、大学事務職員の業務に変化が生じている≒変化が求められていると言われています。

このあたりは、ここ数年特に文科省でも活発に議論されていることです。以下リンクでは文科省の大学職員のあり方に関する審議の経過などを見ることができます。

「大学のガバナンス改革の推進について」(審議まとめ)(平成26年2月12日 大学分科会):文部科学省
(リンク先の資料3 18ページあたり)

大学教育部会(第44回) 配付資料:文部科学省
(議題 大学の事務職員の在り方について)


大学は、どのように変わってきたのか

では、そもそも大学自体はどのように変化してきたのかでしょうか。

文科省によると、大学が,ただ単に授業で学生を扱うだけの集合 ではなくて,大学全体がシステムとして組織全体として学生を育てるように転化していることとあります。
(前述の「大学のガバナンス改革の推進について」より)

僕の主観混じりの解釈では、大学という場所が、みんながやりたい学問を好き勝手に勉強するだけ、その環境をサポートするだけだったのが、いろんな要因から教育研究だけではなく総合的な「人材育成」を求められるようになってきているんですよってことだと思います。

だれに?

社会に。


なぜ大学の役割は変化を強いられたのか

なぜ、大学はその役割を大きく変えなければいけなかったのでしょうか。
僕は、よくいう大学全入時代に突入したからというのが一つの大きな理由ではないかと考えます。
「勉強が好きな人が行くところ」だったのが、「大学を出ていることがステイタスになる」ようになり、そして「大学なんて出ていて当たり前」になる。

いつしか、「大学を出ていること」ではなく、「◯◯大学を出ていること」がステイタスになり。

各大学は「うちの大学を出るとこんな付加価値がありますよ!」とPRに必死になる。

社会は、いつしか受け入れる若者が大卒であることが当たり前になり、必然的に大学に求められる役割、期待する役割が増える。

この背景には、「大学全入時代」となり大学生が多様化して行く一方で、社会通念的な「大学生、大学を卒業した若者はこのくらいできて当たり前」の感覚が変化していないことがあるのではないかと思います。

結果的に、大学はある分野に精通した専門家を養成する機関から社会に出て行く準備教育をする機関の側面を色濃くして行った、もしくはそうせざるを得なかったのではないでしょうか。


大学職員に求められる役割はどう変わったのか

大学の変化に伴って、大学職員のやることはどう変わったか。

僕が大学職員になった時は、すでに上記のような考え方が広まりつつあったので以前のことは推測でしかありませんが、「教育研究を行うために必要な事務処理をする」ことから、「教育研究に必要な事務処理とそのサポート、もしくはそれ自体をする」ように変わったのだと思います。

大学で仕事をしていると、いろんな場面で直接学生に何かを指導することが出てきます。
主に生活指導面で。特に教務系、学生系のチームで働く職員の皆さんはそうではないでしょうか。

また、”FD(Faculty Development)”の後を追うように、”SD(Staff Development)”の必要性も強く論じられるようになりました。

僕の考える、「大学職員とは」

僕個人は、「大学教員」と「大学職員」の役割分担として、「大学教員は夢を描き、大学職員はそれを実現するための手段を考える」と考えています。

もっと極端なことを言うと、今の大学教員はまだ、世代的にどこか浮世離れしたと言うか、自分の専門とする分野の教育研究以外には無関心な方が多いように感じています。
(否定的な意見ではありませんよ)

一方大学職員の多くは普通に社会人になった人が多く、教員とは違う視点で学生をサポートすることができるのではないでしょうか。

在籍する学生が多様化すればするほど、その学生たちへの対応も多様化して行くのは当たり前のこと。日本社会において、大学の担う役割が受動的に大きくなればなるほど、大学に求められる責務が多くなるのも当たり前のこと。

大学職員は、「大学運営上の事務処理を行う役割の人たち」から「大学における人材育成を多角的視点でサポートする、もしくはその一翼を担う人たち」に変化しつつあるのだと思います。


※ 本記事で参考として出している文科省資料の中でも、特に『大学の事務職員等の在り方について』の参考資料は非常に参考になります。
今大学職員の人も、これから大学職員になろうとしている人も、大学教員も、大学生も、まだ読んだことのない人は是非読んでみてください。